これは8%? それとも10%? を、レジの前で迷わないために。
テイクアウトは8%、店内で食べれば10%。ここまでは知られていますが、実務で迷うのはその先です。 イートインスペース、席のない屋台、出前とケータリングの違い、容器代、みりん、食品+おまけのセット商品—— 国税庁のQ&Aに答えがある49の場面を、判定・理由・条文の根拠つきで並べました。
出典:国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」平成28年4月(令和8年4月改訂)
まず押さえる6つの原則
軽減税率8%の対象は「飲食料品の譲渡」です。店内で食べてもらう行為は食事の提供という役務なので、譲渡から外れて10%になります。売っている物ではなく取引の中身で分かれる——これが全事例に共通する骨格です。
| 場面 | 税率 | なぜそうなるか |
|---|---|---|
| 持ち帰り・お土産(容器に入れて渡す) | 8% | 飲食料品の譲渡にあたる |
| 店内・イートインで食べてもらう | 10% | 飲食設備での「食事の提供」にあたる |
| 出前・宅配(届けて渡すだけ) | 8% | 運搬つきの譲渡で、役務の提供ではない |
| 出張料理・ケータリング(現地で給仕) | 10% | 相手方の指定場所で行う飲食料品の提供にあたる |
| 酒類(持ち帰りでも) | 10% | 酒類は軽減対象の「飲食料品」から除かれる |
| 持ち帰り用の容器・割り箸(無償で付ける) | 8% | 譲渡に通常必要なものとして対価に含まれる |
分かれ目の考え方は 判定の原則(8%と10%の境目) で、飲食設備・意思確認・一体資産の3点に分けて説明しています。
49事例から探す
自分の店で起きている場面に近いものを選んでください。各事例に、国税庁Q&Aの問番号と、 根拠になる消費税法・基本通達の条文番号を付けています。
49 件
- 標準10%社員食堂で出す食事標準税率10%。社員食堂での食事は「食事の提供」にあたります。
- 標準10%セルフサービスの店(トレーで自分で運ぶ)標準税率10%。セルフサービスでも、席で食べさせている以上「食事の提供」です。
- 標準10%屋台・フードイベントでテーブルや椅子を出している標準税率10%。屋台でも、自店の席や使用許可を得た席で食べさせれば「食事の提供」です。
- 軽減8%縁日の焼きそば・お好み焼きなど、席をまったく置かない屋台軽減税率8%。テーブル・椅子・カウンターがなければ「飲食料品の譲渡」です。
- 条件次第コンビニのイートインスペース(弁当・ホットスナック)意思確認で決まります。店内で食べるなら10%、持ち帰るなら8%。
- 条件次第スーパーの休憩スペースがある店で弁当・惣菜を売る休憩スペースも飲食設備です。意思確認で8%か10%かを判定します。
- 軽減8%「飲食はお控えください」と掲示した休憩スペース実態として飲食させていなければ飲食設備に当たらず、持ち帰り販売のみ=8%。
- 軽減8%客用の席はなく、従業員がバックヤードで食べるだけの店軽減税率8%。従業員専用バックヤードは飲食設備に当たりません。
- 条件次第掲示で「飲食できる場所」を絞っている(通路のベンチは対象外)掲示で指定した場所だけが飲食設備。ただし指定した場所がある以上、意思確認は必要。
- 条件次第イートインで食べてよい物を「飲み物とパンだけ」に限定している限定の外にある弁当・惣菜は持ち帰り販売のみ=8%。意思確認は不要になります。
- 条件次第コーヒーチケット(回数券)を売っているチケット発行時ではなく、コーヒーを渡す時点の意思確認で税率が決まります。
- 条件次第ファストフード店で「テイクアウトかどうか」をどう判断するか提供を行った時点の意思確認で判定します。持ち帰りなら8%、店内なら10%。
- 標準10%食べ残しを折り詰めにして持ち帰ってもらう標準税率10%。その場で食べるために出した時点で「食事の提供」が確定しています。
- 標準10%セット商品のうちドリンクだけ店内で飲むと言われたセット全体が10%。一の商品の一部をその場で飲食させることになります。
- 標準10%回転寿司で、出した寿司を客がパック詰めして持ち帰る店内で食べる寿司と区別せずに出したものは10%。持ち帰り注文なら8%。
- 軽減8%飲食店のレジ前に置いた菓子・物販軽減税率8%。単に飲食料品を販売しているだけと考えられます。
- 標準10%ラーメン店で缶・ペットボトルをそのまま出す標準税率10%。コップに移していなくても、店内で飲ませるための提供です。
- 標準10%カウンターだけの立ち食い・立ち飲み店標準税率10%。カウンターのみでも飲食設備です。
- 標準10%フードコートに出店している(席はショッピングセンターの所有)標準税率10%。他人の設備でも、合意等に基づき客に使わせているなら飲食設備です。
- 軽減8%キッチンカーで売り、客が近くの公園のベンチで食べる軽減税率8%。誰でも使えるベンチは、その店の飲食設備ではありません。
- 条件次第他人の椅子・テーブルを客に使わせている(明示の契約はない)黙示の合意でも飲食設備になります。管理支配の実態があるかで判定します。
- 軽減8%遊園地・施設内の売店で売り、客が園内で食べ歩く軽減税率8%。施設全体が飲食設備になるわけではありません。
- 条件次第列車の食堂車と、車内ワゴン販売食堂車は10%。ワゴン販売は原則8%(座席で飲食させる提供は10%)。
- 標準10%カラオケボックスの客室で注文を受けて出す飲食物標準税率10%。客室内のメニューから注文を受けて出す提供は「食事の提供」です。
- 軽減8%映画館の売店でポップコーンや飲み物を売る軽減税率8%。売店での販売は単なる店頭販売です。
- 標準10%ホテルの宴会場・会議室での食事、ルームサービス標準税率10%。いずれも飲食設備のある場所での「食事の提供」です。
- 軽減8%ホテル客室の冷蔵庫に入れた飲料軽減税率8%(酒類を除く)。単に飲食料品を販売しているだけです。
- 標準10%手ぶらバーベキュー(施設利用料+食材代)全額10%。施設利用料と食材代を区分しても分けられません。
- 標準10%出張料理(客の自宅で調理して出す)標準税率10%。いわゆるケータリング・出張料理に該当します。
- 標準10%料理代行サービス(客の自宅で作る・食材は持ち込み)標準税率10%。ケータリング・出張料理に該当します。
- 軽減8%そばの出前・宅配ピザ軽減税率8%。顧客の指定場所へ単に届けるだけだからです。
- 条件次第社内の会議室まで飲み物を配達してもらう届けるだけなら8%。配達後に給仕等を行うと10%。
- 軽減8%配達先で味噌汁を器に取り分けて渡す軽減税率8%。「取り分け」は役務に含まれません。
- 条件次第有料老人ホーム・サ高住で入居者に出す食事金額基準の範囲内なら8%。1食730円超、または1日の累計2,190円超の分は10%。
- 標準10%学生食堂(利用は任意)標準税率10%。任意利用の学生食堂は「学校給食」に当たりません。
- 課税対象外病院食入院時食事療養費に係る病院食は非課税。特別メニューの特別料金は10%。
- 標準10%給食調理を受託している(老人ホームから委託)標準税率10%。受託者が行うのは調理の役務提供であって飲食料品の譲渡ではありません。
- 標準10%お酒を売る・出す標準税率10%。酒類は「飲食料品」から除かれています。
- 条件次第ノンアルコールビール・甘酒・みりん・料理酒アルコール分1度未満なら8%。酒税法上の酒類に当たるものは10%。
- 条件次第栄養ドリンク(医薬部外品)を置いている医薬品・医薬部外品・再生医療等製品は10%。それ以外なら8%。
- 軽減8%持ち帰り用の容器・包装の代金通常必要な包装材料等は飲食料品と一体で8%。別途対価を定めた包装は対象外。
- 軽減8%割り箸・スプーン・お手拭き・ストローを付けて売る軽減税率8%。その飲食料品を飲食する際にのみ用いる食器具等は一体で8%です。
- 軽減8%ケーキに保冷剤をサービスで付ける軽減税率8%。ただし保冷剤の代金を別途もらうと、その保冷剤は10%。
- 軽減8%自動販売機でジュース・パン・菓子を売る軽減税率8%。飲食させる役務の提供ではなく、単なる販売です。
- 標準10%いちご狩り・味覚狩りの入園料入園料は10%。持ち帰り分に別途対価をもらうなら、その果物は8%。
- 条件次第食品+おまけのセット商品(一体資産)の判定税抜1万円以下かつ食品の価額割合が3分の2以上なら全体が8%。
- 条件次第一体資産の「1万円以下」は何個あたりで見るのかセット商品1個当たりの販売価格(税抜)で判定します。
- 軽減8%対象商品を買った人にレジで非売品の販促品を渡す無作為に選んで渡す非売品なら一体資産に当たらず、全体が8%。
- 条件次第店内価格と持ち帰り価格の表示をどうするか価格設定は事業者の任意。表示方法は「両方表示」か「片方のみ表示」の2通りが示されています。
場面別のもくじ
上の検索は絞り込み用です。全事例の見出しはこちらにも並べています。
持ち帰り・移動販売9件
店内・イートイン11件
施設内での提供10件
物販・酒類・容器8件
セット商品・一体資産4件
価格表示・チケット2件
よくある質問
テイクアウトは8%、店内で食べると10%。なぜ同じ商品で税率が変わるのですか?
軽減税率8%の対象は「飲食料品の譲渡」、つまり商品を渡す取引です。店内で食べてもらう行為は「食事の提供」という役務(サービス)にあたるため、飲食料品の譲渡から除かれ、標準税率10%になります。売っている物ではなく、取引の中身で分かれます。
同じ弁当でも、持ち帰りなら譲渡で8%、その場で食べてもらえば食事の提供で10%です。
8%か10%かは、いつの時点で判断するのですか?
商品を提供する時点(レジで代金をもらう時点)で判断します。客に「お持ち帰りですか、店内でお召し上がりですか」と意思確認し、その答えに沿って税率を決めるのが実務です。
持ち帰ると答えた客が、その後に気が変わって店内で食べたとしても、提供時点の判断をさかのぼって直す必要はないとされています。
客への意思確認は、必ず一人ずつ声をかけないといけませんか?
声かけに限りません。店内飲食と持ち帰りのどちらか判別できればよく、「イートインをご利用の方はお申し出ください」といった掲示による確認でも差し支えないとされています。
大切なのは、店として判別する仕組みがあることです。何も置かずに全部8%で処理する運用は認められません。
コンビニのイートインスペースで食べる場合はどうなりますか?
条件次第です。イートインスペースは飲食設備にあたるため、そこで食べる意思を示した客への販売は10%、持ち帰る客への販売は8%です。店側は掲示などで意思確認をしておく必要があります。
ホットスナックや弁当など、その場で食べられる状態の商品はとくに確認が必要とされています。
席のない屋台・キッチンカーは何%ですか?
テーブル・椅子・カウンターなどの飲食設備をまったく置いていない屋台や移動販売は、飲食料品の譲渡として8%です。反対に、自前でテーブルや椅子を出していれば、そこで食べる客への提供は10%になります。
近くの公園のベンチのように、店が設置したのでも管理しているのでもない設備で客が勝手に食べる場合は、飲食設備とはされません。
出前・宅配ピザは8%、ケータリングは10%と聞きました。違いは何ですか?
そばの出前や宅配ピザのように、作った料理を届けるだけなら飲食料品の譲渡で8%です。届け先に出向いて給仕・配膳などの役務まで行う場合(出張料理・ケータリング)は、その場で飲食させる提供として10%になります。
境目は「運んで渡すだけか、現地でサービスまで行うか」です。届け先で味噌汁を器に取り分ける程度は、盛り付けの範囲として8%とされています。
出典
収録した49事例はすべて、次の一次資料の記載にもとづいています。 事例ページには問番号と条文番号を併記しているので、原典に当たれます。
- 国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」平成28年4月(令和8年4月改訂)国税庁「消費税の軽減税率制度について」
- 消費税法・同別表第一(軽減税率の対象となる品目)e-Gov法令検索「消費税法」
- 消費税法基本通達(各事例の「根拠」欄で引用)国税庁「消費税法基本通達 第5章第9節」
本サイトは一般的な考え方を整理した参考情報です。実際の取引は、設備の有無・掲示・契約内容など 個別の事情で結論が変わることがあり、見解が分かれる論点もあります。 最終的な税務判断は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。